なんぷす往復日記

新婚早々、夫は南アルプスへ 妻は杉並区に家を借りた二拠点生活のブログ。

二拠点生活に至った経緯 その2

彼が会社を辞めて失業保険ライフに突入すると、みるみるうちに元気になった。

そして、それまで週休1日であくせく働いていた分の休日を取り戻すかのように、家でのんびりしたり、近所を散歩したり、定年退職したお父さんのように気ままに過ごすようになった。一般的な定年退職のお父さん像と違っているのは、家事をほとんど引き受けてくれたことだろうか。毎晩帰ると美味しい晩御飯ができているので、ジム通いが非常にはかどった。

 

平穏が訪れてほっとしたのもつかの間、気になるのは次の進路のことである。

 

確か最初に聞いたのは、四ツ谷だか神楽坂だかで行われたワインのイベントに2人で出かけている途中だった。「おれそろそろ田舎でブドウ作りたいやで」と。

 

次の仕事も東京に違いないと思っていた私は、正直目の前が一瞬白くなったような気がした。でも、出会った時から「ブドウが作りたい…」とうわごとのように繰り返していた人だったので、「時が来たのか」とすぐに思い直すことができた。

 

「田舎でブドウ」。

一体どうなってしまうのか、と思ったけど、彼の方は結構地に足をつける感覚で考えていたようで、遠くの町ではなく、私の仕事を考慮して都内からさほど離れていない場所を拠点にしたいと言ってくれた。

確か山梨県がワインの生産量日本一だった気がするけど、そんな山梨と、同じく日本ワインが多く作られている長野が東京の近くにあって本当によかった、と思った。

 

それからは、気ままに過ごしながらも情報収集を始め、ワイナリーの合同就職説明会や、長野県の就農イベントなどに一緒に参加をした。

 

ブドウというのもそもそもワインが大好きでワイン作りに関わりたかったことから、初めはワイナリーでの就職を考えていたけれど、農大出身でないと厳しかったり、未経験であることから書類を送るもばんばん落とされてしまい、徐々に山梨か長野で「ブドウ農家」をやることにターゲットを絞っていった。

 

そしてその頃(2018年4月)、私たちは入籍した。

彼の方は金もなければ職もないけれど、頑張っていこうと。

(個人的には、もちろん金も職もある方がいいとは思うけど、今なくったって、結婚してもいいと思う。「養うためのお金」とか「自信」とかを待っていて婚期を逃す方が、もったいない。「結婚=幸せ」かどうかは別にして。)

 

親戚にもらったお祝いをかき集めて新婚旅行に行ったら、その広大な大地と独特なテロワール(笑 よく知らんけど)に彼は感動して「やっぱり北海道にするやで」と言い始めるほど心を動かされてしまって、とても焦った。

 

が、帰宅後一生懸命関東に留まる方へ意識を促し、またのんびりとした日々が戻ってきた。

山梨県南アルプス市の「地域おこし協力隊」の募集を見つけたのは、その頃だった。