なんぷす往復日記

新婚早々、夫は南アルプスへ 妻は杉並区に家を借りた二拠点生活のブログ。

二拠点生活に至った経緯 その1

私は東京が好きだ。

香川県で生まれ、京都で学生時代を過ごし、大阪で就職し、転勤で2015年から東京に住むことになった私にとって、四条河原町や梅田・なんばのような繁華街が数えきれない程格納されている東京という都市は衝撃だった。


どこに行っても目新しく、便利で、深夜まで遊ぶことができる。特に知らない人と知り合うのが好きな自分にとっては、飲み屋、勉強会など様々な場所で刺激を受ける出会いがあり、一気に魅了された。


こんなに楽しい東京を離れる気なんて全然なかった。


しかし、きっかけは夫の職場の不穏な動きによってもたらされた。


今年2月頃、都内のレストランでソムリエをしていた彼が、勤務を終えて深夜帰宅し、私の布団の前で正座をしてこう言った。


「今の店辞めよう思うねん。

言えへんかったけど、実は先月の給料まだもらえてないねん。」


私は驚き、詳しく事情を聞いた。


彼の話によると、彼の勤めているレストランは元々不動産会社の運営によるもので、そちらの経営不振により飲食事業部にも余波がきているとのことだった。


後になって、その不動産会社がシェアハウス「○ぼちゃの○車」事件に関わっていたことから、億単位の損失を出していたということがわかるのだが…。


それからも彼は勤務を続けていたが、何日経てども払われない給与と、その事について本社に問い合わせても部署をたらい回しにされてきちんと答えてくれないという姿勢に腹を立てて、ついに行くのをやめてしまった。


3月に入ってからの彼の落ち込みようはすさまじく、毎日眠れない、食事はほとんど取れないわでひたすら布団にくるまっていた。


彼に戦闘力はもう残っていない、しかし、一生懸命働いた給料がこのまま払われないのはすごく困る。


というわけで私はネットの情報を頼りに内容証明を作って本社に送ったり、彼の代わりに社長に直接電話をして金を払うよう促したりした。


さすがに電話は効いたようで、「3月30日(内容証明で示した期日)には必ず払います」と社長の言質を取り(一応録音)、30日が近づくにつれ膨れ上がる不安感に2人で耐えながら、その日を待った。


ダメだったら調停にするしかない、とまで覚悟していたが、約束の30日、彼が汗水流して稼いだ給与はかくして無事口座に振り込まれたのだった。


不安定な会社でこのまま働き続けるわけもなく、彼は会社都合で退職。それから約3ヶ月、悠々自適の失業保険ライフを送ることとなった。


そして実はこの時私たちはまだ未婚だった。無職どまん中の時期に晴れて夫婦となるのだが、またその顚末は別の記事に書こうと思う。